検索窓
今日:25 hit、昨日:97 hit、合計:88,635 hit

❅·̩͙14 ページ14

あそこのコンビニを右、とか
次の電柱を左、とか
風でまともに伝わらない中声を張り上げる。



渡辺には全部伝わってて、その通りのルートを通ってくれた。
人生で初めて乗るバイクは予想より気持ちよくて
それと同時にこれから帰るところがどれだけ寂しい場所か
近づくにつれて帰りたくない気持ちが強くなる。



住宅街に入って、彼はスピードを落とした。
そのおかげで声も通りやすい。



『一軒家なの?』


「そう、そこの青い扉の家」



終わってしまった。
意外と白雪のアジトから近いんだな。



渡辺は家の前でバイクを停めて、私を降ろす。
ヘルメットを取って返した。



「ありがとう。楽しかった」


『…そりゃよかった。戸締りしっかりしろよ』


「言われなくてもする。じゃあね、気をつけて」



背を向ければ、掴まれた腕。
今日2回目。



渡辺を見ると恥ずかしそうに視線が泳いでいた。
可愛い、とふと出てきた感情を振り払って真顔を保つ。



「どうしましたか?」


『あー…えっと、迷惑じゃなかったらLINE…交換しね?』



めっちゃ照れてんですけど。
女慣れしてんじゃないの?連絡先聞くのなんて十八番でしょ?



閉じ込めた感情がまた顔を覗かせる。



「…いいけど、聞き方下手だね笑」


『うっせ。慣れてねぇんだよ』


「色んな人連れ込むくせに?」


『…向こうから来るから、テキトーに相手してるだけ』



へぇ。モテモテでいいですね。



「じゃあ私レアだね」


『そーだよ。自分から聞くの初めてだかんな』



そこまでレアとは思ってなかった。



QR、とぶっきらぼうに言われて
自分のを画面に出して差し出す。
返された画面には「しょうた」の文字と
自分のバイクのアイコン。



『…ありがと』


「はーい。おやすみ」


『おやすみ。また明日』



サラッと返された言葉が、彼が去ってから胸をじんと温める。
明日を約束してくれる人が私に出来た。



暴走族、ってところがちょっと残念だけど。



_______________________________

目をひん剥きました。
高校生だった頃、有難いことにランキング1位を
取らせていただいたことがございましたが
それ以来の衝撃です。

本当にありがとうございます。

❅·̩͙15→←❅·̩͙13



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (155 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
563人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , 渡辺翔太
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

hrr - おもしろくて一気読みしました!続き楽しみにしています! (4月10日 14時) (レス) id: 5934ce0412 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:カジャ | 作成日時:2024年3月20日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。