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たかが1本で ページ3

関田side
___

1セット目
ピー
ブラジルの2回目のタイムアウト

今日は、いつもより周りが良く見えている気がする。
うちのスパイーカーも
ブラジルのブロッカーも

でも、もっと真ん中使って
分散させないと..
いつか捕まってしまう。

正直、向こうの真ん中の威圧感は否めない。
大志を使っても、綺麗に決まらないから
両サイドへ振ってしまっている

.....

くそ、
焦ってしまう

伊藤コーチ:悪い癖だな

大志:はい、深呼吸〜

健太郎:考えすぎ!追い込みすぎ!
  顔がこえぇ!

伊藤コーチ:顔はいつもだろ(笑)

関田:すんません、組み立てをもっと改善しないと...

伊藤コーチ:ここまで、6連勝してきて、
  お客さんにとって、俺たちが勝つことは当たり前になってきている。
  今まででは、考えられないことだ。
  それは、関田が、この瞬間まで、一生懸命
  証明してきた、強さのおかげだ。

関田:いや、俺は...

伊藤コーチ:日本のスパイカーは強いと。
  それを可能にしたのは、紛れもなく、関田選手です。

いつもより熱くなっている。

伊藤コーチ:関田、ミドルを無理して使おうとしなくていい。

健太郎:いつもとは、逆だ(笑)

伊藤コーチ:宮さんとの分析結果だ。関田選手のトスは、試合を通してずっと、冴えています。
  このまま、いきましょう。

関田:え?

祐希のテーピングを直すAに目をやる。
 
伊藤コーチ:単純に綺麗に上げるだけではなく、
  相手ブロックとリズムをズらしてあげれば、
  うちのスパイカーなら、ガンガン決めれます。

二人の言葉に背中を押される。

伊藤:いける?

関田:はい。一本で潰させたりしない。






A:関さんに高校時代、ブロッカーにめちゃくちゃ捕まって、負けた試合の後、
  そう言われたんです。

伊藤コーチ:おぉ。こっわ

行武コーチ:一本、ブロックに捕まったくらいで、スパイカーの勢いは殺させないって、
  ブロッカーに対しても、スパイカーに対しても圧があるね〜

A:現役時代、ミドルを多用できたのは、関さんのおかげです。


ブラジル戦、3-2
日本代表、30年ぶりの快挙

翌日のスポーツ新聞の一面を観ながら、伊藤とAはニヤケが止まらなくなってしまった。

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作者名:Lily | 作成日時:2023年11月28日 19時

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