京セラファンミ�� ページ49
( you side )
どうしたらいいのだろう。
何を応えたらいいんだろう。
正門と視線を合わせたまま混乱した頭で思い出したのは廉くんの「正門の気持ちをお前が決めつけんなよ」という言葉だった。
この半年、デビューについてと
同じくらいには考えていた。
捨てられなかった、
何度もぶりかえした気持ちを
正門に手渡すこと。
でも、手渡される心の準備なんて
１mmも選択肢に入っていなかった。
『……』
見つめ合ったまま何も言えない私の耳に「しろー」とファンの人の声が響く。
ステージ上だということを一瞬でも忘れていたことに驚いて、視線を少し客先に向けると青と白の光が目に飛び込んできた。
正門のメンバーカラーと、
私のメンバーカラーの光。
ああ、私が決めつけていたのは正門の気持ちだけじゃなく皆の気持ちもだったのだと気がついた。
『出会って１３年くらいになるんでしょうか……』
ゆっくりと話し始めた私の頬から正門の手が離れていく。
話しやすいようにしてくれたのだと思うけど、私は正門から視線を逸らすことはしなかった。
『きっと一番長く一緒にいて、しんどい時、折れそうな時、傍にいてくれたのが正門だった。これが持っていてはいけない感情だと思いながら、捨てられなくてくるしかったこともたくさんあったけど、それでも諦められないくらい、正門のことが好き、です。これからもずっと一緒にいてほしい……』
言い切ったと同時に、正門に抱きしめられる。
ほぼ同時に、会場がわっと騒がしくなった。
『正門！？』
正門「絶対ずっと一緒におる」
『正門ここステージの上！！』
公開告白なんてしておいて、急に恥ずかしくなって彼の胸元を押し返す。
小島「はい、いちゃいちゃ終わってくださーい」
パラパラと拍手をしながら隣に来た小島の言葉に、いつもなら『いちゃいちゃしてない！』と言い返すけど今日はそうもいかない。
末澤「いや、ほんと正門っていうのが意外性がないなあ」
佐野「ほんとですよね〜」
リチャ「なんかあったら言うんやでー」
好き勝手いうメンバーも、
私を離そうとしない正門も、
祝福の声があふれる客席も、
どれだけ幸せなんだと思ったら
ちょっとだけ泣きたくなってぎゅっと目をつぶってもう一度開いた。
『はい！！！ファンミの続きやるよ！！！！』
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作者名：くー | 作成日時：2023年11月15日 12時
