京セラファンミ�� ページ48
( 正門良規 side )
大倉「はいじゃあ、最後に正門からもう一つ大事な大事なお話です。どうぞ」
正門「！」
思ってもみなかったふりに驚いて固まる。
驚いていたけれど大倉君がなんの話しをしているのかは、なんとなく察していた。
でも、ここでだなんて聞いとらん。
ずっと、意識しないように意識していたのだと思う。
同期以上に大切な存在になってしまわないようにしていた。メンバーとして、同期としてもちろん大切な人。
だけど大切な女の子にしてはいけない。
それがお互いのためだと思っていた。
それでも、彼女が誰かの隣で笑う日を思ったら、ざらりとした痛みは明確なもので。
嫌だという感情が子供みたいに沸いてしまった。
伝えるつもりなんてなかったのに、
伝える可能性を考え出したら気がつけば止まる選択肢はなくなってしまっていた。
最初にしたことはメンバーに話すことで、
そのあとにしたことは同期に話すこと、
大倉くんと横山くんに話すこと。
事務所に話すこと。
自分の行動の責任は自分がとるべきとはいえ
自分の行動が誰かの人生を動かしてしまう可能性だってあった。
だから彼女に伝えるより前に行動したわけやけど、みんなして今更かみたいな反応をされた。
伝えた時に、変なふうに外の人間やファンの方に勘ぐらせるなと言ったのは大倉くんだったけれどこんなステージの上で言えなんて聞いとらんけど……。
動揺していたら隣の誠也くんに「正門」と名前を呼ばれた。
末澤「そういうことやろ」
正門「……りり」
『え、はい』
覚悟なんて、伝えようと思った時にとっくに決めていた。
戸惑うりりのほうを向くと他のメンバーが一歩下がる気配を感じる。
合わせるように彼女に一歩近づいて頬に手を伸ばした。
撫でるように頬に手を添えると、自然と彼女の視線が俺へと向く。
正門「大倉くんからお話いただいたように、今日という日に僕からもう一つみなさんへ、そして姫城りりに伝えたいことがあります」
『正門？』
正門「私事ですが、どうか知っていてほしいです。
……出会ってから、もう１０年以上。いつからかもちゃんと覚えとらんくらい前から、俺はりりのことが好きやった。同期として、メンバーとして、もちろん大切な仲間であると同時に俺にとってはたった一人、これからもずっと一緒におりたい女の子でした。姫城りりさん、俺とお付き合いしてくれませんか？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 370人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くー | 作成日時：2023年11月15日 12時
