Aぇの紅一点神出鬼没のお姫さま (ページ47)

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京セラファンミ② ページ47

( you side )

なにわ男子、ウェストさん、スーパーエイトさんと
関西デビュー組からのサプライズ映像が流される。
その映像に笑って、時々泣きそうになって、
メンバーとも目くばせを交わしたりなんかしてただただ幸せだと思った。

大倉「はいじゃあ、最後に正門からもう一つ大事な大事なお話です。どうぞ」

正門「！」

その言葉で映像が途切れる。

隣を見ると、正門が驚いたように目を見開いていた。
え、何？どういうこと？
Ａぇからお知らせしなくちゃいけないことは、先ほど伝えきったはずだ。

名指しされた正門を見つめるけど、正門はマイクを口元に持っていくことをせず小さく瞳を揺らす。
そんな彼に私と逆隣にいた誠也くんが「正門」と名前を呼んだ。
正門の視線が誠也くんの方に向いて「そういうことやろ」と誠也くんは何か知っている口ぶりで言葉を促す。

え、本当になに？聞いてない。
わけがわからず周りを見渡すけれど、なんとなくこんなに驚いているのは私だけに見えた。

正門「りり」

助けを求めようと誠也くんと目を合わそうとしていたら、正門に名前を呼ばれる。
再び彼のほうに視線をやると真っすぐな目がこちらを見ていた。
しっかりと声もマイクを通している。

『え、はい』

メンバーが一歩づつ後ろに下がるのを感じたあと、正門が私のほうに一歩近づいてくる。
隣同士に立っていたから元から、そんなになかった距離がうまって正門の手が私の頬に触れた。

『……』

どうすることもできずに、私より背の高い正門を見上げる。

正門「大倉くんからお話いただいたように、今日という日に僕からもう一つみなさんへ、そして姫城りりに伝えたいことがあります」

『正門？』

正門「私事ですが、どうか知っていてほしいです。
……出会ってから、もう１０年以上。いつからかもちゃんと覚えとらんくらい前から、俺はりりのことが好きやった。同期として、メンバーとして、もちろん大切な仲間であると同時に俺にとってはたった一人、これからもずっと一緒におりたい女の子でした。姫城りりさん、俺とお付き合いしてくれませんか？」

声にならなくて、どうにか息だけ吸い込んだ。

正門がただ真っすぐに、私の大好きな声で伝えてきた言葉。
私がずっとずっと夢に見て、だけど諦めて、捨てて、置いてきたはずの感情と同じもの。