天界からの救世主30＿＿＿異色な孤独龍の追憶【オリジナル】【過去編】

「生」か、「死」か ページ11

少し違和感を覚えてたのが最初。



徐々に近付く人影に相して段々と細やかな情報が目に飛び込んできた。


「ハァ、ハァ、ハｧ！！」


天界部下はどうやら全速力で走っている様だった。
小さいながらも彼が薄息遣いが聞こえる。
そして彼が着ている天界本部支給物の真っ白い清らかなスーツに＿＿＿ひどい汚れ


土が付いて汚れたのか茶色や、石で擦ったのか黒色。そして


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿圧倒的に付着範囲が多い赤色。



それを目視したAは微かに目を見開き息を飲んだ。


「帰還する」と言った内容を送ってきた報告書には



　 「戦いの際に死んでしまった、と偽装した上で軽く施していた変装を解いて帰還する」



…というものだった。つまり誰にも気づかれることなくOHPのナワバリから抜け出すことが出来るような内容だった。





基本的にOHPの奴らには生前が仲間だったとしてもその人物が死んでしまったら彼らにとって「どうでもいい存在」に分類される。
つまり戦いの際に死んでしまった仲間に悲しみなど持ち合わさない。


死んだら死んだ、それまでの事。そう割り切るのだ。


何故。答えは簡単、「そういう感情を必要としていない」から「そういう感情を持ち合わせていない」のである。


根本的に「天界の天界人」は感情の手札を多数所持しているが「堕界の天界人」とはその手札を最低限にしか所持していない。
もう彼らは大きく異なる生き物だと思ってもらって構わない。


「生」か「死」か。


つまり、相手は彼が死んだ、と思えば後を追う事はしない。


だが、これはなんだ。
全速力で走り、服を汚し、怪我をして。まるで何かから逃げてきたように。




いや、


『違う…アイツ逃げて来たんじゃねェ…



逃げているんだ(・・・・・・・)…！今まさにこの時…』


背後を気にするように何度も何度も首だけ背後を振り返っては走る速度を緩めない。
そして切羽詰まったような表情。間違いないだろう。


だが、何から…？

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ラッキー新天界組メンバー

零

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