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、
朝も夜も、行ける時間は全部Aへの時間に使った。
『Aさん。こんばんは。
今日は晴れてて月が出てるよ。』
「あ、阿部さん。こんばんは。
月ですか？私星とか月とか大好きです。」
『……そうなんだ。じゃあカーテン開けるね』
知ってる。
星や月などの天体が好きなこと。
前俺と天体観測行ったことなんて今のAは覚えていない。
ずっと前は、そりゃ付き合ってたんだから両想いだった。
今は、俺ばっかり好きで、
俺ばっかりAのことばっか考えてて。
…数日経っても記憶が戻ることはない。
そりゃそうだ。
彼女の記憶がすぐ戻るのならば、
病院側もあんな悲しそうで、
あんな苦しそうで、俺に話をしない。
「きれぃ〜…」
『ね。綺麗だね。
あ、オリオン座…東京じゃ明るすぎてあまり見かけないんだよ。Aさんラッキー。』
「ど、どれがオリオン座ですか、？」
『……これだよ。』
俺はAの後ろに回って抱きつく形で星座を教えた。
ありがとうって言ってるAは顔が赤くなっていて、
あぁ、ほんとに彼女のことが好きなんだなって実感した。
「ち、ちかぃ、です……」
『あ…ごめん…』
また気まずい空気。
付き合っている時…いや、記憶を無くす前、
彼女との沈黙なんて苦ではなかったのに、
記憶をなくしてしまった以降、
Aは気まずそうに外を眺めたりしている。
そんな明らかに気まずいですよ。なんて態度出されたら
そりゃ気まずくなってしまう。
『…明日早いからもう帰るよ。また来るね。』
「あ……阿部さん…
毎日毎日ありがとうございます…」
『うん。また明日来るね。』
早く記憶が戻っていつも通りのAに…なんて
いつもの俺じゃ思わない。
それだけ俺に限界が近ずいている訳で…
『……苦しいなぁ…』
早く記憶を取り戻さなくてもいい。
だから、早くいつもと同じ関係性に戻りたいよ…
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作者名：蒼空 | 作成日時：2024年3月25日 21時
