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〜10年後〜
赤side
『ただいま』
赤「あ、おかえり母さん。遅かったね」
玄関から音が聞こえて、俺はリビングから顔を出した。
そこには少し酔ってるのか、頬を僅かに紅潮させた母さんがいる。
『SixTONESにいたら話し込んじゃってね
何人かは飲み潰れてたよ』
赤「あの人たちも……もう若くないのに」
『言ってやるな、言ってやるな』
赤「今日夜食、クラムチャウダーだよ。いる？」
『……貰おうかな』
ふふ、この顔すれば、母さんは大抵少量でも食べてくれるって知ってる。
どうせお酒ばっか飲んでろくにご飯食べてないだろうし。
『………そのナイフ……』
赤「ああ、10年前の」
さっき部屋を掃除してたらたまたま見つけた昔のナイフ。
手入れを怠ってたから、もうすごく錆びてるけど。
『もうそんな経つんだねえ』
赤「うん。あれから毎日怒涛で疲れてる余裕なんてなかったからね。母さん厳しいし」
『あんなの甘いもんだよ。
あの教育でここまで立派に育つなんて想定外さ』
母さんはダイニングチェアに座ってカラカラ笑った。
……もう、10年か。ほんと、時が過ぎるのは早い。
あのとき1悶着あった辰哉も、今ではすっかり染まった。
『ここまでこの業界で伸し上がるとはねぇ』
温めたクラムチャウダーを母さんの前に置く。
しっかり『いただきます』と返ってきた。
赤「大変だったけど、やっぱ感謝が大きいよ」
『あらまぁ嬉しい』
赤「思ってる？？」
桃「ただいまー！！！」
黄「ただいま！大介静かに、下の子は寝てんだから」
桃「あっ！！そっか！！ごめん！！」
黄「だから……！」
『やかましいのが帰ってきたよ』
リビングにいても伝わるやかましさに母さんがやれやれとでも言いたげに首を小さく振った。
桃「ただいま涼太！！あっ母ちゃん帰ったんだ！！
おかえり！！」
黄「ほんっっっっとやかましい……」
赤「大介、翔太たち寝てるから」
桃「すみません……」
黄「うわっ！懐かし、俺が昔持ってたナイフじゃん」
照もナイフ気になるんだねw
桃「懐かしいよなー。ねっ、母ちゃん！
母ちゃんも懐かしいよねっ」
『私はアンタたちの母親になった覚えはないよ』
桃「えー！言ったじゃんか、昔！息子も同然って！」
『はて？なんの事か』
桃「母ちゃんっ！」
赤「照、クラムチャウダー食べる？」
黄「んー、先風呂行く」
赤「はーい」
色々あったけど、俺たちは生きている。
多分今、それが俺たちにとって1番大事なこと。
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作者名：あられくん | 作成日時：2023年11月13日 16時
