SnowManの最強の先生はちょっと奇人 (ページ12)

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紫side

涼太の言葉を聞いて、ハッとした。

これ、俺のエゴじゃん。

俺がAさん、信用してないだけじゃん。
俺はAさんをチラ見した。
すると、全て見透かした余裕のある表情で薄く笑った。

俺がAさんを信用してないことを、Aさんは分かっていた。

分かってる上で、口出ししなかったんだ。

俺も、まだまだ餓鬼だな。

シンプルにそう思う。
ただ自分が怖がってるの、押し付けてるだけだった。

桃「辰哉……？」

大介が俺を覗き込む。

緑「れっ、蓮！？」

急に聞こえた亮平の焦り声。
全員が亮平と蓮に注目する。
どうやら蓮が亮平の手を振り払い、Aさんのもとまで近づいているようだ。

黒「…Aさん」

『なんだい？』

落ち着いて、抑揚がない声。

黒「…いっしょに行ったら、お兄ちゃんたちと、ラウを守ってくれる？」

『……勿論だとも。共に来たら息子も同然。
　命に変えても守って見せるさ』

当然とでも言うように、スラスラとAさんは告げた。

黒「じゃあ、おれはついてくね」

青「蓮……」

黒「おれも、お兄ちゃんたち、守りたい
　ラウだって、おれがお兄ちゃんだから、守る」

たどたどしい蓮。
そんな様子を見て、大介が俺を見た。
……もう、半笑いだったよ。

桃「辰哉」

紫「……あ"ー！！わーったよ、分かった！！
　ついてくよ、Aさんに」

赤「…俺も」

緑「俺も！」

橙「みんな行くんやろ……？じゃあ俺も行く…」

白「らうも！」

『……辰哉、えらいね』

飾らないAさんの台詞。
極ありふれた、何の他意もない。

けど、すごく嬉しかった。

紫「……うるさい、」

『あら、ごめんよ』

訳もわからず出た涙を、ボロ切れみたいな服の袖で拭った。