9 ページ11
桃side
桃(最初のミッション……)
無駄がなく、スマートな戦闘を見せたAさん。
ああ、これだ。
半分は直感。けど確かにそう感じた。
今の自分に一番欠けてた力はこれなんだ。
これなら、口先だけじゃなくて態度でちゃんと示せる。
もはや後先考えないで、Aさんに弟子入りした。
あっさりでたOKに、案外戸惑ってないかも。
普段ならもっとテンパるけど、意外に冷静だ。
俺が振り向くと、もう全員近くにいた。
翔太と照は目に期待を宿して。
涼太と亮平は不安そう。
年少組は、多分混乱してるんだろうな。
ただ1人、辰哉の眼光だけ、厳しかった。
桃「…ねえ、Aさんについてこうよ」
下手な言い回しをしても、仕方ないよね。
紫「……お前さ、ちゃんと康二と蓮とラウールのこと、考えてる？」
いつになく厳しい辰哉の声に、耐性のない年少組が肩を揺らす。
Aさんは腕を組んで黙っていた。
桃「だって、このままじゃここで飢え死ぬ！
生きてく為に必要な選択なんだよ！」
紫「ついていったらもっと無惨な死に様になる！」
桃「ならない！そうさせない！」
紫「どの口が言ってるんだよ！1番運動神経悪いくせに！」
桃「そこも全部含めてだろ！」
橙「も、もうやめよや……。辰くんと大ちゃんで言い争ってもしゃあないって……！」
赤「康二、黙って」
橙「でも……！」
赤「今、話しちゃダメなやつ」
橙「っ……」
紫「ああ！もう埒があかない！じゃあお前だけついてけよ！」
桃「……は？」
紫「兄弟は俺が守るから」
翔太も、照もいるし。辰哉はそう加えた。
どっちも間違ったことは言ってない。
だから、譲れない。
青「……俺、大介…Aさんについてく」
黄「……俺も」
紫「は？」
桃「！」
青「辰哉、今のまま逃げてたって、何も変わんないって」
黄「…それに、俺は少しでも、生きられる方に賭けたい」
辰哉ははじめて焦りを見せる。
いくら最年長と言えど、まだ14歳の少年。
さすがに1人で10歳以下の子供2人を守るのはキツすぎる。
紫「りょっ、涼太は！？亮平は！？」
赤「……俺は、分からないよ」
緑「……俺も」
赤「だって、辰くんも大ちゃんも正しいことを言ってる。
でも……」
兄弟、離れ離れになりたくないな……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 205人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あられくん | 作成日時：2023年11月13日 16時
