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渡「ほんじゃ。また連絡するわー」
ユイ「またねー」
ヒラヒラと手を振って駅の方へ歩いて行く2人。
渡「あ。目黒んとこでも行けば?今すいてるらしいよ」
「え、」
樹「サンキュ。」
いま…目黒…って言ってたよね?
樹「行こっか?」
「うん…」
地名って可能性もあるだろうけど…違うと思った。
だって目黒の方はここから割と距離があるから。
樹「てかめめの店行くなら翔太と一緒に行けば良かったじゃん」
「え?」
樹「ああ、目黒って奴がやってるバーがあんだけどね?翔太の友達なの。友達って言うか…同居人?」
やっぱり、そうだ。
渡辺さんもあのシェアハウスの住人だった。
あの…あったかい家に帰るんだ。
「いいな…」
樹「ん?」
「…んーん。なんでもない」
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目「いらっしゃいませ…あ。」
樹「よっ」
「こちらどうぞ」と綺麗に微笑んでカウンターに案内してくれた目黒さん。仄暗いお店の雰囲気も重なってドキッとした。
目「……」
「……」
やたらと視線を感じて小さく会釈する。
目「…あ。"Aちゃん"だ。」
樹「知り合い?」
目「佐久間くんの拾って来た迷子。」
「ちが…」
いや、そういえばこの人にはそういうことになってるんだった。キョトンとする樹くんに経緯を説明した。
樹「なるほどね。それでバタバタしてたんだ」
「そうなの…ごめんね」
樹「じゃあ今日もホテルに帰るの?」
「…そうだね」
目黒さんが居るからか、またあのあったかい家を思い出して羨ましくなった。
カードキーを挿すまで明かりのつかない真っ暗な部屋を思ってつい溜息をつく。
目「…こだわりあるの?」
「え?」
目「そんなに決まらないってなんかすげぇこだわりでもあんのかなって」
「こだわりは…そんなにないです
でも、温かみのある家がいいなって」
目「ふーん…」
「後はセキュリティーのしっかりしてる家にしなさいって知り合いにアドバイスは貰いました」
目「ならうちでよくない?」
「…はい?」
なんの曇りもない真っ直ぐな視線が私を捉えて離さない。
さっきまでグラスを拭いていた手は止まっている。
目「木造だし。木のぬくもりとか言うじゃん」
樹「そういうことなの?てかあの大所帯に女の子1人は流石にじゃない?」
目「でもセキュリティーで言ったら万全っすよ
あんだけ男手あるとこにわざわざ突っ込んでくる物好きも居ないでしょ。消防士も居るし。」
樹「それはたしかに」
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あむ(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!暖かいお言葉嬉しいです^ ^更新がんばります! (3月27日 13時) (レス) @page34 id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お話の流れと展開が好きです (3月26日 21時) (レス) @page36 id: 5ebabfabca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あむ | 作成日時:2024年3月18日 23時