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佐久間side。
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風呂から出たらワンワン泣いてるAちゃんの姿。
オロオロしながらAちゃんの背中をさする康二を見て慌てて駆け寄った。
「…なんで泣いてんの?」
康二が泣かせたんじゃないって分かってても、大事な同期が悲しんでるのを見たらつい語気が強くなってしまって。
シュンと体を縮こまらせた康二を見て反省した。
向「実はなぁ…」
聞けば、Aちゃんを悲しませているのはさっきのさっきまで彼氏だったサイテー野郎。
お酒の力が大きいとはいえ、Aちゃんが自ら別れに踏み切ったのにはビックリだけど…
「お別れしてからも悲しい思いさせられんのね…」
外では嫌がった抱っこ。
でも今は、そっとぎゅーをすると腕の中にすっぽり収まってる。
「悲しかったねぇ」
向「…さっきAちゃんが元彼に関するもん全部消してんの見とってんけど、Aちゃん『出て行く』って送っとったんよ」
「え…」
向「『出て行くので家はどうぞお好きに使ってください』って」
「そーなの?」
腕の中で泣きながらコクコクと頷くAちゃん。
阿「じゃあやっぱり暫くうちに居たら?」
「阿部ちゃん」
階段を降りて来た阿部ちゃんはやんわり微笑んだ。
「話聞いてたの?」
阿「うん。Aちゃん、帰るとこなくなっちゃったんでしょ?」
俺の胸に顔を埋めていたAちゃんの目線の高さにしゃがんで問いかけた阿部ちゃん。
ゆっくり顔を上げたAちゃんの目は潤んでて、ほっぺに残る涙の筋も相まって痛々しい。
阿「佐久間は迷子をほっとけないんだよ」
その言葉で、Aちゃんの視線が俺に向いた。
「…うちの子になる?」
ボロボロのAちゃんが、縋るようにコクンと頷いて、どこからかやって来たツナがAちゃんに身を寄せた。悲しみに寄り添うように。
またポロポロと涙を溢したAちゃんをしばらく腕の中であやしていたら静かになって…
向「寝てる…?」
「寝たね…」
阿「佐久間運んであげなよ」
1階の端っこ。なんにもない部屋。
阿部ちゃんが布団を敷いてくれて、そこに彼女をそっと寝かせると、待ってましたと言わんばかりにツナが扉の隙間から入って来た。
「おまえはほんと…Aちゃんが好きだね」
ニャーと返事をしたツナを横目に、Aちゃんの携帯を充電する。心無しか軽くなったような気がするそれ。
Aちゃんの心も軽くなりますよーに。
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あむ(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!暖かいお言葉嬉しいです^ ^更新がんばります! (3月27日 13時) (レス) @page34 id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お話の流れと展開が好きです (3月26日 21時) (レス) @page36 id: 5ebabfabca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あむ | 作成日時:2024年3月18日 23時